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「克服」しないで…

またまた「うつ」の話題ですが…。

このHPにはアクセス解析を設置しているので
私(萩原)は、訪問された皆さんがどんなキーワードで探されて
このHPにいらしたのかを知ることができます。

その検索された言葉(フレーズ)の中でも時々見かけて
そして、私から見るとびっくりしてしまうものに
“「うつ」を克服する”というようなものがあります。
似たようなものには“「うつ」に打ち勝つ”とか、
“「うつ」を完治させる”などもあるでしょうか。

気持はわかる気がしますし、
特に「うつ」になりやすいタイプの方には
そのような発想をなさる方が多いのだろうなぁ、
というのも妙に納得できますが…。

「うつ」になっている方は、
それでなくてもそれまで前向きに頑張って
自分と闘いすぎてくたびれて、
エネルギーレベルがレッドゾーンまで
落ちている状態だったりします。

(たとえ、…たとえばひきこもりなどで、はたから見ると
一日中ふとんの中で怠けているだけだったとしても
実は心の中では大変なエネルギーを使っているものです。
これは外で暢気に働いている人よりも何倍もくたびれる。)

その状態でそれ以上頑張っちゃダメなんです。
第一、そんなことをしても徒労に終わって
もっともっとくたびれてしまうことは目に見えている。

でも、そういう方に限って、
「克服」とか「克己」とか「鍛錬」とか…
そういう言葉が好きな方が多いようです。

そうかと思うと、
“「うつ」にはリラックスすることが必要”だと聞けば
「頑張って一所懸命リラックスしよう」としたりして
それで思ったように上手くリラックスできないと
「やっぱり自分はダメだ。」と落ち込んだり…。
(冗談のようですが、本当にそういう方は多いです)

こういうときには、やっぱり一人で頑張りすぎないで
自分以外の誰かに相談することが大切。
相談された「誰か」は、
決して本人を「励ましたり元気づけたりしてはいけない。」
というのはよく言われることですが、
それは上記のように本人がもう既に
自分自身に対して嫌というほどやってきて
「これ以上前に進めない」という状態になっているからです。

しかし、周囲の人間にとっても「うつ」で落ち込んでいる人の話を
励まさないで「ただ聞く」というのはかなりしんどいものです。

ましてや「もう死にたい」「生きていたって仕方ない」などと
言われた日には、聞いている方が気が動転してしまって
「そんなこと言わないで、元気を出して」とつい言いたくなったり、
慌てて話題を逸らしてしまったり、場違いな冗談を言ってしまったり。

結局、本人も、そういう話は相手を追い詰めることを
心のどこかで承知しているから、
相手を困らせたくないばかりに口に出せない。

そのままでは本人も周囲も袋小路に入ってしまいます。



「うつ」な気持ちは決して「克服」しようとしないで。
人の気持ちや心の動きに、無駄なものなど何もない。
とにかく、誰かに話してみること(聞いてくれる人に)。
もちろん、カウンセリングを受けられるなら受けてほしい。
カウンセリングという安全な場で、
大切な自分の気持ちとじっくり向き合うことがなにより大切。
それは一人ではできない作業。

また、ご家族や身近な立場にいて、
本人の苦しみを受け止めきれずに困っている方は
本人がカウンセリングを受けようとしなくても、
その周囲の人がカウンセリングを受けることで
問題解決の糸口を見つけることが出来るかもしれません。

本人は変わらなくても、
家族の中の、周囲の空気の流れを変えることはできます。

2009.4.27.