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何様?俺様(ワタシ様)

私たちは、心のバランスが崩れて不安定になっている時、
自分なんか生きていても仕方がないんじゃないかとか、
なんだか情けなくて、こんなんだったら死んだ方がマシだとか、
何のために毎日せっせと生きなきゃいけないのかワカラナクなっちゃったとか、
自分がただムナシク宙をつかもうとしているような虚無感や
何もかも投げ出したくなるような自己否定感に襲われることがあります。

もちろん、「えーっ!私はそんな気持ち経験したこともない!」
という人もいるでしょうが(成人してある程度年齢を重ねているのに、
いまだにそういう気持ちをまったく持ったことのない人というのは
「それはそれでどうなんでしょう?」という気もしないでもないですが…。)
程度の差こそあれ、多少なりともそんな気持ちになったことのある人は
現代社会の中では、かなりの割合でいるのではないかと思います。

また、上記のように不安定な気分になったとしても、
現実的、具体的に、死ぬことを考えるかどうかは別の問題ですが、
なんとなく心の中に気持の悪いものを抱えてしまったような
形容しがたい不安感や心細さ、恐れなどが入り混じり、
足元の不確かな(自分の立っている場所がわからない)感じから、
衝動性も高まってくるように感じる場合もあるかもしれません。

もしかすると、そういう時、心の中で起こっていることは、
お天気用語で言えば「大気の状態が不安定」という状態に
似ているのかもしれません。

地表近くに暖かい湿った空気があって、
その上空に北からの強い寒気が入り込むと
上下の空気が激しく混じりあい、積乱雲が発生して雷が鳴り、
天気が急変するような…あのイメージに近い。

心の中を落ち着いてよくよく眺めてみると、そのような時には
ただ、落ち込んだ気持、沈んだ気持ちがあるだけではなくて、
同時に、自分に対してかなり無理なことを期待している、
とてもプライドが高くて要求がキツイ、
案外かなりタカビーな、もうひとりの自分がいて、
そこまで達していない自分を根拠もなくひどく見下して、
存在まで否定しようとしている場合が多いように思われます。

何の権利があるのか知らないけれど、
一体何様のつもりなのか、自分は高みから眺めて、
せっかく一所懸命やっているもう一方の自分に対して
情け容赦もなくダメ出しをしようとする。
名付けて“俺様”(今、名付けたのですが…)。

なんだか偉そうにしているから本当に偉いのかと思ってしまうけど
しばらく様子を見ていると、実は空威張りが多いようで
案外、現実的なことは何も理解できていないし、
夢みたいなことばかり言っていたりして、要するに子どもっぽい。
そして、大抵、お山の大将でまわりを馬鹿にしているから一人ぼっち。
淋しがりやで、本当はとても気が小さい。

正体さえ見抜くことができれば何ということはない。
対処は十分に可能です。
まだ、はっきりとはその正体を見ることができなかったとしても、
自分が不安定になったなと感じた時には、
「まったく!“俺様”がまた無理なことを言い出したな。」
ということ気づければ、しめたものです。

そして、“俺様”には“俺様”なりの言い分もあるのでしょうから
恐がらずに、落ち着いて聞いてあげてもいいかもしれません。

皆さんにとって、今年はどんな年だったでしょう。
自分自身に向きあうために
生まれて初めてカウンセリングというものを受け始めた人。
同じ問題に苦しんでいる仲間と悩みを分かち合うために
恐る恐る自助グループに参加してみた人。
今まで気づかなかった問題に気づいて、とにかく本を読み漁ってみた人。

せっかくの機会ですから、
今年を締めくくり、新年を迎えるにあたって、
今年一年、そうやって自分なりにやってきたことを
振り返って労ってあげるといいかもしれません。
そしてその時には、
“俺様”の激しく揺れ動く子どもっぽい言い分に
必要以上に振り回されないように
落ち着いてゆっくりと自分の気持ちに向き合うことを
少し意識して試してみてはいかがでしょうか。

2009.12.28