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「親のせい」

前回、前々回のこのコーナーでは、
ある人の幼い時の一番身近な養育者との関係は、
大人になってからのその人の心(特に人間関係の持ち方)に
大きな影響を与えるということについて書いてきました。

このようなことを書くと、
「それじゃあ、みんな親のせいだというのか?」
「いい歳をして、いつまでも甘ったれたことを言っている。」
「大人になって、そんな過去のことを言ってみても始まらないだろう。」
という話になってしまうことが多いようです。

それに第一、
本当に自分のことを真剣に考えている人は
その人自身が自分の悩みについて
「誰かのせいにするのではなくて
自分自身のこととして考えたい。」
という強い思いを持っていることが多い。
これは実際、とても大切なことです。

しかし上記のような常識的な議論で、
解決するようなら苦労はないのですが
いくらそう他人に言われたり、
自分で思ったりしてみたところで、
やはり心の不具合は消えてくれない。

こういうところが人の心の難しいところ。
人の心の謎解き(カウンセリング=謎解き)の
とても一筋縄ではいかないところです。

謎解きのひとつのコツは、
「常識」は一度、脇に置いて考えること。
「常識」だけでなく、今まで自分で何度も
考えたり試みたりしてきたことで
変化を起こすことができなかったことは
(人は一人で悩んでいると、
大抵は堂々巡りの袋小路に入りますよね)
一度、自分の思考回路から外してみる必要があります。

例えば、最初の話に戻れば、ここで大切なのは
「必要なことは犯人を探すことではない。」ということなのです。
「誰が悪いからこうなった。」という話になると
そこで行き詰ってしまう。
それこそ「他人のせいにして終わり」ということになってしまう。

そうではなくて、自分の心の中で起きていることを
ただ、そのまま受け止めていってみる。

例えば…
「どうしても親の顔を見ると、何かイライラしてきて
抑えきれずに悪態をついてしまいたくなる。」
という感情があるとして、
「そんな自分は大人として情けない。」と思って
ただ自分の感情を抑え込もう、コントロールしよう、
とするのではなく(そのような試みは大抵失敗します)、
その「自分の」困った感情、感覚にとことん付き合ってみる。
それがどのようなネガティブな感情でも、あまりカッコよくなくても、
いたずらに恐れたり、断罪したり、隠したりせずに、
興味を持って向き合ってみることが大切なのです。

前回書いたように、
親には親の事情があり、責めてみても仕方がない。
ただ、だからといって、
自分の中に、現にある感情を無視しなければいけない
という理由にもならない。
それとこれとは、まったく別な話なのです。

親に気を使って遠慮していると、
自分の謎解きがうまく進まないことになってしまうかもしれません。

2009.10.3.